お墓探訪)船橋昭和浄苑・浄苑墓・&(安堵)

今回訪れたのは、船橋市にある船橋昭和浄苑。
県立船橋県民の森に接する、とても事前豊かな霊園です。ちょうどこの日は素晴らしい快晴に恵まれ、青空とたくさんの緑に囲まれた霊園が一段ときれいでした。

shoudaiji001

墓地は、正面の入口からまっすぐに伸びる道の両側に広がります。平坦に広がる大きな空間は、都心から少し離れた千葉の郊外ならではのものとも言えそうです。
お墓一つ一つの区画は3㎡からと大きめ。船橋昭和浄苑は、交通の便が決して良いとは言えない場所にありますが、自然豊かな環境、きれいに整備された墓地に魅了され、東京からも買い求めにくるお客様がいるとのこと。
確かに、大きな森に囲まれ、鳥のさえずりが聞こえる静かな空間は、都会では得られぬものかもしれません。

シンボルにもなっている永代供養墓

funabashi-shouwa004

霊園の正面一番奥にあるのが、永代供養墓の「浄縁墓」。大きな自然石の墓標が圧倒します。高さは3メートルほど。重さは何と40トンもあるそうです。
最高級の墓石の一つとされる万成石(まんなりいし)を掘り出したそのままの形でお墓にしたそうです。
深い森をバックに、周辺は芝生に囲まれたこの場所にいるだけで、何とも落ち着いた気分になります。
お墓というよりも、公園のようなこの一角。そばにはベンチもあり、休憩していく方も多いそうです。

話題沸騰中「二人」で入れるお墓

funabashi-shouwa002

こちらは、一見するとお墓に見えないお墓。西欧の神殿の柱のような雰囲気の石が並んでいます。
これは、「&安堵(あんど」と名付けられたお墓です。一つの柱に二人まで入ることができ、一定期間が過ぎると正面の祭壇部分に合祀され、永代供養を受けることができます。

funabashi-shouwa003

石柱の上は蓋となっており、内部に遺骨が納められるようになっています。
こちらのお墓は、「二人」でなら誰でも入れるお墓、つまり、夫婦でなくても、彼女でも友人でも一緒に入ることができるのです。これは従来のお寺のお墓からすると、かなり画期的なものです。
同性のカップルなどLGBTのパートナーでも当たり前に入ることができます。実は、LGBTの方のお墓問題というのはかなり深刻なものがあり、自分が死んだあとどうなるか悩まれる方が多いそうです。
船橋昭和浄苑を運営する證大寺では、LGBTの方に対する理解を一層深めるべく、シンポジウムなども開催しています。

なお、こちらのお墓、2017年のグッドデザイン賞「金賞」を受賞しています。
gooddesign003

gooddesign001

家電や自動車などが授賞するのはよく耳にしますが、「お墓」が選ばれるのはなかなかレアなこと。
従来型のお墓だけではなく、もっとデザイン性が高くあらゆる世代に受け入れられるお墓を作りたい、という證大寺の努力が実ったものと言えるのではないでしょうか。

ただの休憩所ではなく「手紙処」

さて、お墓を一通り巡った所で、苑内の休憩所にやってまいりました。
shoudaiji003

これまた、美術館にでも来たのかと見まごうおしゃれな建物。
無垢の木造の建物が晴天に映えて実にきれいです。壁の作りが正倉院の校倉造りに似ているなと思ったら、やはりそれをモチーフにしたとのこと。
こちらの建物は「手紙処(てがみどころ)」と名付けられています。證大寺は、人と人との心を通わせる直筆の「手紙」を大切にしていこうと、2年前より「手紙寺」を名乗り、手紙を書こうという活動をされてきています。
その一環として、船橋昭和浄苑に設けられたのがこの建物。
手紙を書くスペースがあるだけでなく、手紙用の紙やペンもすべて完備されており、お茶を飲み、自然を眺めつつ、いつでも誰でも手紙を書ける、そんな空間になっています。
メディアで取り上げられた影響もあり、わざわざ手紙処を見に来た若いカップルもいたそうです。

私もしばし、ここで穏やかなときを過ごすこととしましょうか・・・。