エンディング産業展2017 東京ビッグサイトにて開催

 8月23日から3日間、有明の東京ビッグサイトにて、葬儀・供養関連などの企業を集めエンディング産業展(ENDEX2017)が開催されています。

 2015年に第1回が開催されたエンディング産業展は、今年で3回目。
 昨年は初日に大型台風が首都圏を直撃するという不運に見舞われましたが、今年は晴天に恵まれ、初日から大勢の人が来場しました。

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 第1回ENDEXは、業者向けであるとともに、一般の人、例えばお墓を探す人や終活をしたい人などもターゲットにした産業展であったものの、年を追うごとに業者向けの色が強くなり、今年はほぼ業者・企業に向けた展示会になっていると言っても良いかもしれません。

 「終活」「墓じまい」「樹木葬」など、流行りのキーワードが次々と生まれるエンディング産業界隈はメディアの注目も高く、テレビ局各局も取材に訪れました。

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 特に力が入っていたのはテレビ東京のワールドビジネスサテライト班。大浜キャスター自らが多くのブースを回って取材していました。

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 こちらはテレビ朝日のスーパーJチャンネルでしょうか。堂真理子アナウンサーがインタビューしていました。

注目の展示は!?

 今年も入口前に陣取っていたのは光岡自動車。今年も豪華な霊柩車がお目見えしました。

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 写真では分かりづらいのですが、この霊柩車、リムジン型で全長は何と7メートル以上!横から見るとその長さに驚きます。
 アメリカ車のリンカーンをベースに800万円以上の開発費をかけて改造されたというからこれまた驚くばかり。
 はてさて、どんな人がこの車に乗せられるのでしょうか!?

 霊柩車では、TRGというメーカーが興味深い展示をしていました。

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 この霊柩車、霊柩車でありながらお葬式もできてしまうという優れもの。音響システムもそなえ、家族葬規模の葬儀を行えてしまうというのです。
 ちなみに、この霊柩車は搬送車としても使うことができます。病院で人が亡くなった場合、葬儀社が病院から葬儀場まで遺体を運ぶわけですが、霊柩車で引き取りにいくのは縁起が悪いというので病院に断られるため、葬儀社は遺体を病院から運び込むためだけに「搬送車」を用意しなければならなかったのです。しかし、このミニバンタイプの霊柩車であれば一見霊柩車とはわからないため、「搬送車」も兼ねることができる、というわけなのです。

 実は、同様の霊柩車は光岡自動車も販売をはじめており、今後はこのような「搬送車」にも「霊柩車」にもなる車が一般的になっていきそうです。
 豪華な装飾がほどこされた「宮型」の霊柩車も最近はすっかり見かけなくなりました。「豪華さ」「周囲への見栄」より、「実用」「周囲への配慮」を重視するようになった最近の世相が、こういうところにも表れるのですね。

 そして今年も目立ったのは、永代供養墓用の共同墓。
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 ワールドビジネスサテライトが取材していたのも共同墓でしたが、このタイプのお墓はやはり最近寺院での導入ケースが増えており、各社いろいろな形の商品を出してきています。
 墓石業界では活況を見せるすくない分野かもしれません。

 もう一つ、活況なのはペット分野。岡山の石材会社であるオクノは、昨年に引き続きペット用のお墓を出展しています。

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 ペットの遺骨を付属の骨壺に入れて中に収納すれば、部屋の中に置いていつでもペットとの思い出に触れられるこのお墓、ペット向け商品としては珍しく、本格的な石材でできています。

 ペットの遺骨全てを収納できるちょっと大型のタイプや、木を使用したものも発売されました。
 手頃な価格も相まって、ネット経由で購入する方もかなり多いそうです。お墓お墓していないおしゃれな形も、ペット用だからこそできることかも知れません。

 いろいろな実技や作業をこの目で見ることができるのも、エンディング産業展の楽しみの一つ。

 実際に石を削る作業。こちらは石に仏様を彫っています。
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 少し削っては線を引く、という途方もない地道な作業を繰り返す職人技に頭が下がります。

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 こちらは木彫りの仏具の彫刻師さん。同じく、線を引いては彫り、という緻密な作業。しばし時間を忘れて見入ってしまいます。

 納棺師さん、「おくりびと」と行った方がイメージしやすいでしょうか、その納棺師による、遺体の着せ替えの実演も行われていました。実に美しい所作が印象的でした。

 こちらは特設会場で行われた「北木の石切唄パフォーマンス」。
 北木島は瀬戸内海に浮かぶ小さな島。最近ではお笑いコンビ「千鳥」の大悟が生まれ育った島として少し有名になりましたが、実は「北木石」という良い石が取れることでも有名な島なのです。北木石は今では採掘量が減ったものの、大阪城の石垣、靖国神社の鳥居などにも使用されたほどの高級品でした。
 石を叩く「キン!」という甲高い音に乗せて、石工たちが歌いつないできた石切唄が披露されました。

危機感を持つ石材業界

 今回のエンディング産業展では、セミナーも多く開催されますが、初日は石材店向けのセミナーが3つ開催されました。

・お墓の価値を高めるために石材店ができること
・墓石の売れない時代にあなたは何を売りますか
・まだまだできる!石材店のネット活用術

 これはそのセミナーのタイトル。これを見ただけでも、今石材店さんはお墓が売れなくなって困っているところが多いんだろうな、と容易に想像ができるほど。

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参加者も真剣そのもの

 実際、最近は「永代供養墓」や「樹木葬」などの広がりや、昔ほどお墓にお金をかけないという風潮もあり、かつてのように墓石は売れず石材店の売上は下がっています。
 石材店界隈では「墓ばなれ」も叫ばれて久しく、店をたたむ石材店も増えています。
 ひと昔前であれば、お墓を建てると200~300万円、と言われていたのが、今や50万円を切るお墓も簡単に見つけることができます。

 ただ一方で、日本人が「お墓がいらない」「お墓参りなどしなくてよい」と思うようになったわけではない、という事実もあります。
 日本人の宗教心が薄れた、お寺の檀家も減った、という事実はありながら、お墓参りに行く人の割合は昔とかわっていないという統計もあります。
 NHKのある調査では、「お墓を大切にしたいと思っている」人の割合は、40年前と比べて増えているというのです。

 つまり、「お墓が売れなくなった」ことを、「墓ばなれ」と認識している石材店業界には大きな意識改革が必要なのではないでしょうか。
 セミナーでは、講師を務めていた日本石材産業協会の部会長さんからも「『墓ばなれ』ということについては、石材店と消費者さんとの間で認識のずれがあるかもしれない。」という発言がありました。

 「お墓」の形も持ち方もどんどん多様化している今、従来型の売り方ではお墓が売れなくなっていることは間違いないようです。
 ただ、講師を務めた石材店経営者たちからは、「売れなくなってはいるが、買いたい人はいるし売りようもある」「変化に対応することはチャンスでもある」と前向きな言葉が多く聞かれ、実際の成功事例も多く語られました。

 こうした業界の努力は、消費者にとってもいい商品・サービスを受けられることにつながるでしょう。今後の石材業界にぜひ期待したいところです。

エンディング産業展は25日(金)まで

 エンディング産業展は、25日まで開催されます。
 入場料は2000円ですが、ホームページからの事前登録で無料に!
 公式サイトはこちら エンディング産業展2017