東京のお墓の相場はいくら!?(港区・一般墓編)

 近年では、お墓の形も多様化しており、従来型の一般的な墓石を建てるタイプ以外に、集合墓や合葬墓、樹木葬など、さまざまな形のお墓を選べるようになった。
 とはいえ、特に高年齢層を中心にまだまだ従来型のお墓を望む人が多いことも事実。

 その従来型のタイプのお墓を買うとなると、まず霊園で墓所の敷地の「永代使用権」を購入し、そこに石材店に注文して墓石を建てることになる。最近では、墓石がセットになっており石材店を選んだり墓石の形を一から考えたりしなくても良い「セット型」のお墓も販売されているが、その場合も費用の内訳は「永代使用料」と「墓石代」に分かれているのが通常だ。この記事では、この従来型タイプのお墓を「一般墓」と呼ぶことにする。

 お墓の販売者さんに、一般墓について「お墓を購入するとどれくらいかかりますか?」と聞くと、販売者さんにより多少の幅はあるものの、ざっと総額で200~250万円から、と言われることが多いだろう。

 墓所の面積単価は、当然ながら不動産における地価と連動するので、都心では非常に高価となり、郊外に行くほど安くなる。従って単価の高い都心の1区画の墓所面積は小さくなり、郊外では逆に大きくなる。一方で、建てる墓石の価格は、墓所面積が広いほど石が大きくなるので高くなる。総合すると、都心から郊外まで、総額購入費用のハードルは近いレンジに収まる傾向にあり、ざっと総額で200~250万円から、となるらしい。

港区一般墓のお墓相場をチェック

 とはいえ、不動産に「お求めやすい」物件と「高級」物件があるように、お墓にも同じような違いはある。また、霊園でも、小さめで安価な区画や大きな区画、先述した永代使用権とと墓石をセットで割安な価格を設定した区画など、様々な区画を提供していることも多く、手元の予算に合わせて選べるようになっている。

 今回は、東京都港区という都心部で一般墓を販売している霊園をいくつかピックアップして、永代使用料、購入時費用総額、管理費、などを比較してみよう。

霊園名
最寄駅
面積 永代
使用料
㎡単価 墓石代 管理費
(年)
購入時
総額
30年
費用総額
青山梅窓院墓苑
(外苑前1分)
0.20㎡ 100.0 500 140.0 3.19 240.0 335
0.36㎡ 150.0 416 200.0 3.34 350.0 450
0.68㎡ 450.0 661 3.65 809
青山墓苑
(青山一丁目4分)
0.36㎡ 130.0 361 3 420
0.81㎡ 285.0 351 5.4 697
1.51㎡ 755.0 500 6 1285
白金の杜 はなぞの霊園
(白金高輪4分)
0.21㎡ 33.0 155 120.0 1 153.0 183
0.22㎡ 34.0 152 120.0 1 154.0 184
0.37㎡ 53.0 144 150.0 1.2 203.0 239
高輪メモリアルガーデン
(白金高輪9分)
0.58㎡ 146.0 251 112.0 1.7 258.0 309
0.72㎡ 175.0 243 127.0 1.7 302.0 353
1.20㎡ 295.0 245 150.0 1.7 445.0 496
麻布の杜曹溪寺墓苑
(白金高輪8分)
0.16㎡ 1.4 72.0 114
0.25㎡ 1.4 98.0 140
三田中央浄苑
(三田8分)
0.25㎡ 1 103.0 133
0.68㎡ 1 295.0 325
大増寺ひじり苑
(三田10分)
0.54㎡ 180.0 333 105.0 0.6 285.0 303
0.81㎡ 250.0 308 130.0 0.6 380.0 398
1.25㎡ 310.0 248 1.2 496
都立青山霊園
(外苑前6分)
1.55㎡ 420.6 271 0.12 624
2.00㎡ 542.8 271 0.12 796
3.05㎡ 827.7 271 0.24 1134
4.00㎡ 1085.6 271 0.24 1492

※金額、単価の単位は万円。
※管理費には、護持費・会費など墓の維持に毎年必要となる費用を含む。
※30年総額費用は、購入時に必要な金額と30年分の管理費用を合計したもの。墓石費用が設定されていない霊園については、周辺相場から推定した墓石費用を加算している。

 並べてみると、港区という都心にあっても、平均すると総額250万円くらいで十分一般墓を購入できることがわかる。
 とはいえ、面積をご覧いただくと分かるように、区画の面積は非常に小さい。都心では、1㎡を切る区画は珍しくはないが、都心では0.2㎡を切るかなり小さめの区画も登場している。

 ちなみに、敷地0.2㎡というと約44センチ四方となる。これは、ウォーターサーバーが立てられるくらい、とイメージすると分かりやすいだろうか。従来のお墓とはかなりイメージが異なる。

購入時費用総額が一番安かったのは!?

 購入時の費用総額が一番安かったのは、麻布の杜 曹溪寺墓苑の0.16㎡区画総額72万円。区画が小さいとはいえ、一般墓を72万円で買えるというのは郊外含めても安い部類と言って良いだろう。
 曹溪寺墓苑は、区画を小割りにし総額費用を抑えており、費用も墓石込みの総額表示で販売と分かりやすい、正に庶民の味方とも言える。

 年間管理費は1.4万円とやや高めであるものの、30年費用総額も114万円からとかなり低い。

永代使用料が一番安かったのは!?

 永代使用料が一番安かったのは、白金の杜はなぞの霊園でいずれのプランも1㎡あたり約150万円であった。
 区画面積も小さいタイプが用意されており、総額150万円程度から購入が可能。30年総額も200万円を切っている。

高級路線を走る青山の2霊園

 一方で、青山という都心の超一等地に墓地を構える、青山梅窓院墓苑青山墓苑の二つは、永代使用料・年間管理費ともかなり高めに設定されており、他と比較しても取得費用はかなり高い。
 まさに青山という立地とブランドを生かした価格設定がなされている。

意外に高い都立青山霊園

 唯一の公営霊園なのが都立青山霊園。公営霊園は周辺相場より安いというのが一般的だが、青山霊園は立地的に一等地であることもあり、永代使用料単価は271万円と高い。
 この価格は、すぐそばに位置する上述の青山梅窓院墓苑・青山墓苑と比較すれば安いのだが、青山霊園は昔ながらの区画面積を取っているため、もっとも小さい区画でも1.55㎡と都心の霊園にしては広く、そのため取得費用は少なくとも600万円前後が必要となる。庶民には手が出ない金額となってしまうのだ。
 それでも、毎年青山霊園の使用者募集には、募集人数に対し15倍近い申込みがあるのだから、お金があるところにはあるものである。これも青山ブランドのなせる業か。

都心霊園のメリット

 だいたいの相場感がお分かりいただけただろうか。
 都心の霊園のメリットは、なんと言ってもまず交通の便の良さだろう。10分も歩けばどこかの地下鉄の駅に行きつけるというのは、郊外にはないメリットである。家族がバラバラに住んでいる場合であってもお墓参りで集まりやすいし、会社帰りなど普段にでもお参りに来ることができる。
 二つ目は、段差・階段の少なさだろうか。都心の霊園は比較的小規模なものが多いため、段差や階段は少ないことが多い。新しい墓地ではバリアフリーに対応しているところもある。高齢者には優しいと言えるだろう。
 三つ目に、最近の新しい都心霊園は通路がコンクリートや石畳でしっかり覆われているところが多く、また区画が小さいため、地面の露出がほとんどない。これにより、雑草が生い茂ることがなく、頻繁にお参りができなくともお墓が荒れにくく、手入れも楽なのだ。(なお、都立青山霊園は地面の露出がかなり多い。)

 次回は、都心の納骨堂・永代供養墓の相場比較をお送りする予定。