墓じまいで実際に起きているトラブルとは!? – 親族のクレーム・離檀料など

少し前までは「墓じまいって何?」という感じだったのが、最近はテレビでもよく話題に上がるようになり、「墓じまい」自体が広まるとともに、実際に行われることも多くなりました。
一番多いケースは、「地方に残された代々の墓」を撤去して都市部の永代供養墓に改葬する、というパターンです。

墓じまいの増加にともなって、親族間で揉める、お寺と揉める、などトラブルも増えてきています。
先祖代々のお墓を閉じるというのは、簡単には進まないことも多いのです。

墓じまいにまつわるトラブルは色々ありますが、これから述べる2つの問題が大半です。

1)後から墓じまいを知った親戚からのクレーム

とにかくこじれやすいのが、墓じまいが終わったあと、「墓がなくなってるじゃないか!」と親戚から文句を言われるケース。

多いのは、お墓の近くに住んでいる親戚が実はたまにお墓参りに来ており、来てみたらお墓がないのに驚いて連絡してくるというもの。
お墓の撤去は所有者(もしくは祭祀継承者)の一存でできますし、他から文句を言われる筋合いはない、というのも一理あるのですが、その親戚にとっては自分の親や兄弟が入っているお墓だったりしますから、自分の知らないうちにお墓がなくなってしまうことで残念に思うことはあるでしょう。

実際、最近「墓じまい」を行った人が親族に提訴されるという事態が起きています。

無断「墓じまい」で苦痛と提訴 愛知・弥富の90歳女性
 両親らが埋葬された墓を「墓じまい」として無断で撤去され精神的苦痛を受けたとして、愛知県弥富市の女性(90)が、撤去した親族2人に慰謝料など計530万円の損害賠償を求め、名古屋地裁に提訴したことが27日、分かった。提訴は7月23日付。

 先祖代々の墓を更地に戻す墓じまいは近年、少子高齢化や核家族化を背景に、墓を守る人がいなくなる「無縁墓」となるのを防ぐなどの理由で増加傾向にある。親族間でトラブルになるケースも珍しくなく、専門家は「事前によく話し合うべきだ」と指摘している。
(中日新聞 2018年10月27日記事より引用)

この件では、訴えを起こした女性と墓じまいを行った親族の関係などが詳しく報道されていないため、詳細は分かりませんが、まさに、「お墓を継いだ人」と「お墓を継続的にお参りしている人」とのトラブルと推測されます。
お墓については、「祭祀継承者」つまりお墓やお葬式などを執り行う権利を引き継いだ人が、墓じまいなどの処分を行うことができます。

しかし、祭祀を誰が継承したか明確でない場合も多いため(相続とは別に取り決める必要があるため)、争いの火種となってしまうことがあるのです。

お墓の近くに親戚がお住まいではありませんか?
お墓の掃除や草引きなどをほとんどしていないのにお墓がいつもきれいに保たれている場合は、誰かが日常的にお墓参りに来てくれている可能性があります。
墓じまいする前に一言連絡することをお勧めします。

また、誰かがお墓参りしてくれているようだけど誰なのか分からない、という場合は、お墓の前に立て札などを立てて、墓じまいする予定であることを知らせるようにすると良いでしょう。

1年ほど立てておけるとベストですが、そんなに待てない、という場合は、お彼岸・お盆や命日など、お参りに来られる可能性が高い日取りをはさむことをお勧めします。

お墓の移転先や墓じまいをする理由も素直にお伝えすることが大切です。
もちろんすぐには納得してもらえない場合もありますが、後から発覚するよりは事が大きくならずにすみます。

2)お寺がお墓を撤去させてくれないor法外な金を請求してくる


もう一つは、今話題の「離檀料(りだんりょう)」です。
(離檀料の「だん」は檀家の「檀」の字です。)
お寺の檀家を辞める際、お寺に支払うお布施を一般的に離檀料と呼びます。

お墓を撤去し遺骨を取り出すには墓地管理者の承諾が必要です。
民間の霊園では手数料が決まっていることが多く、遺骨の取り出しでトラブルになることは稀でしょう。

一方お寺の墓地の場合は、「檀家をやめる」ことがセットとなるため、お寺側がそれに難色を示すことがあります。

遺骨をお墓から取り出す(改葬する)ためには、墓地の管理者であるお寺(つまり住職)の承諾が必要であり、逆に言うと承諾してくれない限り遺骨が取り出せません。

そのため、一部のお寺が、「遺骨の改葬を認めるのと引き換えにお布施を要求する」が行われているのです。
そのお布施が離檀料と呼ばれるものです。

離檀料は本来強制されるものではなく、必ずしも払わねばならないものでもありませんが、お寺が法外な金額の離檀料を求めてきたとき、トラブルに発展するのです。

もっともお寺側としては、「先祖代々のお墓の面倒を見てきたのはウチだ」とか、場合によっては「○代前の××さんが困ったときはうちが世話を焼いたんだから」など、いろいろな言い分はあるでしょう。
「そもそも移転など認めない」と言うお寺さんもいるそうです。

一般論としては、お寺と家との長年の付き合いに対するお礼としていくばくかのお布施を、お礼の気持ちとして渡す、というのが一番適当かと思います。
離檀料の相場は、地方によってもかなり違いがあるものの、5~20万円程度と言われています。
しかしこれはあくまで目安。お寺との過去の付き合いの深さやお墓の持ち主の経済状況などで変わってくるでしょう。

どうしてもお寺がお墓の移転を承諾してくれない、お寺が請求してくる離檀料の金額に納得がいかない、という場合は、弁護士または行政書士に相談しましょう。
離檀料を巡る問題については、裁判例も出ていますので、ある程度こちらが納得いく結論が出ると思います。

墓じまいに付き物(?)の離檀料ってなに?いくらくらい?

3)墓じまい業者(石材店)とのトラブル

最後、番外編となりますが、墓じまい工事を依頼した業者とのトラブルもあります。
業者とのトラブルは、多くがお金の問題であり、

思ったより高かった
後出しで追加費用を請求された

のどちらかです。
このトラブルは、「事前にお墓を見てもらって見積もりをもらう」ことでほぼ回避することができます

墓じまいでの墓石撤去工事は、実際にお墓のある場所を見ないで正確な費用を出すことは不可能です。
なぜなら、お墓の大きさのほか、お墓からトラックまでの距離や道の状態によって、必要な機械の種類・職人の人数などが大きく変わるからです。

必ず業者さんには事前にお墓を見てもらったうえで見積もりを作ってもらい、追加費用が発生しないことを確認しましょう。
現場を見ずに見積りを出す業者さんはあまり信用できませんので注意してください。

また、お墓の場所によっては、先ほどの理由で工事費用はどうしても高くなってしまいます。
そのときは、納得してその業者に依頼するか、もしくは相見積もりを取るようにしましょう。
相見積もりで安い業者が見つかる場合もあります。

墓じまいの費用相場が10秒で分かる -撤去費用・改葬費用・離檀料など-

いかがでしたでしょうか。
最近は、当サイトを含め、墓じまいに関する情報を提供するネットメディアも増えてきています。
墓じまいする前の準備を、ぜひ入念に行っていただければ、難しい墓じまいもスムーズに進むことと思います。

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