墓じまいにあたって気になるのはやはり「費用」ですね。
早速ですが、平均的な費用相場をまとめてみました。
- ◎ 墓石の撤去・処分費用:20~30万円(1坪程度の場合)
- 墓石の撤去と遺骨の取り出し、墓石の処分、墓地の整地など一連の工事に必要なお金。
1坪20~30万円、それ以上はプラス1㎡あたり7~10万円くらいが目安。 - ◎ 遺骨の改葬先:3万円~(1柱あたり)
- 永代供養墓に改葬、または海洋散骨を行った場合の目安。
- ◎ 各種証明書の取得費用:1万円(実費)
- 埋葬証明書、改葬証明書の取得にあたって、霊園・自治体等に支払う費用。数千円程度。
- ○ 離檀料:5~30万円
- 檀家をやめる場合にお寺に支払うお布施。
- ○ お性根抜き・魂抜き:1~5万円
- こちらもお寺さんへのお布施。これらの儀式を行わない人も多い。
実際のところ、墓じまいの費用総額はお墓の場所・大きさ、お墓がお寺かどうかなどによって、かなり幅が出てしまいます。
多くの事例を拝見した経験から申し上げると、最低で20万円、合計で25~30万円は見ておいた方がいいと思います。
この記事では、墓じまいについて、細かく場合分けをして費用の目安をまとめてみました。
墓じまいの費用
さて、ではどんなものがいくらくらいかかるのでしょうか。
プラスアルファのお金がかかってしまうのはどういう場合か、
一般的なお墓でどのくらいの金額を想定すればよいか、墓じまいの手順・必要な手続の流れにあわせて見てみましょう。
0:墓じまいする前に
費用:なし
今のお墓に埋葬されているご遺骨の数・状態等の把握
まずは、今のお墓の中にご遺骨またはご遺体がいくつ、どのような状態で入っているかを確認してください。
ご遺骨の数によって、改葬先の準備にかかる費用が変わる場合があります。
(永代供養墓や散骨は、遺骨1体あたりで計算されることが多いです。)
また、ご遺体が土葬されている場合は、改葬のとき火葬を行う必要が出てきます。
ご自身で把握されていない場合は、墓地を管理するお寺や管理者に確認するとよいでしょう。
(ただし、古いお墓の場合、管理者も把握できていない場合もあります。)
墓じまいすることについて親戚等関係者の承諾を得る
ご自身が祭祀承継者である場合、これは必ずしもやらねばならないことではありません。
しかし、墓じまいされたことを後から知った親戚と揉める、というのはよくあるトラブルです。
特に、「お墓参りに行ったら墓がなくなっているじゃないか!」というのは最悪です。
埋葬者に血縁の近い親戚がいる場合、お墓の近辺に住む親戚がいる場合などには、事前に事情を説明して伝えるなど、できる限りケアしましょう。
また、祭祀承継者が複数いる、という場合も時々あります。その場合は、ご自身のみで墓じまいの決定を行えませんので、他の祭祀承継者に同意をもらうことが必要になります。

墓じまいで実際に起きているトラブルとは!? – 親族のクレーム・離檀料など
1:ご遺骨の行き先の検討・契約
費用:3万円~(1体あたり)
墓じまいした後の遺骨の改葬先等を探す
遺骨は、処分・廃棄することはできませんので、改葬先を探すことになります。
新たな埋葬先として多いのは永代供養墓です。合葬タイプであれば、5万円くらいからあります。(遺骨の数が多い場合は安くしてくれることもあります。)
最近は、「樹木葬タイプ」の永代供養墓も増えています。永代供養墓よりは価格帯が高くなりますが、都立小平霊園など5万円程度のお墓もあります。

非公開: イマドキの樹木葬が5分でわかる
「送骨」といって、ゆうパックで遺骨をお寺に送付する方法もあります。こちらは3万円程度となります。
海洋散骨では、すべてを業者に委託するプランではこちらも5万円程度からあるでしょう。
手元供養など、他の方法をお考えの方は、こちらの記事もご参考になさってください。

墓じまいしたら遺骨はどうする?手元に置いておける?
改葬する場合は、今後必要となる手続などを確認するようにしましょう。
墓地の契約をすると、墓地の「使用許可証」が発行されます。(事項の改葬許可申請で必要となります。)
受入証明書の発行
「受入証明書」が必要な場合は併せて発行してもらましょう。(通常無料であることが多いです。)
現在のお墓の管理者に埋葬証明書を発行してもらうにあたって必要な場合があります。
2:今のお墓の管理者との手続・離檀料の交渉
費用:5~30万円程度(離壇料ある場合)、数千円(離壇料ない場合)
まずは、お寺の住職・霊園の管理事務所などのお墓の管理者に、墓の撤去をしたい旨を伝え、必要な手続を確認しましょう。
なぜ最初に現在のお墓の管理者に連絡するかというと、お墓の撤去や遺骨の取り出しに管理者の承諾が必要となるからです。
埋葬証明書の発行
公営の墓地(地方自治体が運営しているもの)や民間の霊園の場合は、管理者に墓の撤去をしたい旨を伝えれば、必要な手続を教えてもらえるでしょう。
通常は、所定の書類を提出して改葬手数料(数千円程度)を支払うと、「埋葬証明書」を発行してもらうことができます。
管理料の滞納など特段の事情がない限りは、改葬を承諾してもらえるでしょう。

お寺の場合は、多少事情が異なります。
お寺のお墓は、お寺のお墓を買った、というよりも、お寺の檀家となることによりお墓の敷地を一部借り、お寺はそのお墓の供養をする、という檀家契約の一部であることが普通です。
そのため、お寺のお墓を引き払うということは、お寺の檀家を辞めるということでもあり、お寺がそれをすんなりと承諾してくれないケースがあります。
離檀料(お布施)の支払い(寺院墓地の場合)
寺院のお墓を持っており檀家になっている場合は、檀家を辞めることについて「離檀料」を請求される場合があります。
この離檀料については、地域やお寺によってまちまちであり、墓じまいをしようとしたところ数百万円単位の多額の離檀料を請求された、というケースも目立ってきています。
近年は、墓じまいに際して高額の離檀料を請求され、支払うまで遺骨を出させてもらえない、というトラブルも増えています。
なにせ、お寺が承諾してくれないことには遺骨をお墓から取り出せないのですから厄介な話です。
離檀料とは、「檀家を辞めるにあたってそれまでのお礼」としてお寺に渡す「お布施」です。わかりやすく「離檀料」と言われるようになりました。従って本来は、お礼の気持ちとしていくらかのお金を包めば良いのです。
ただし、不当に高額な離檀料の請求は違法であるとの裁判例も出ています。一般的には5~30万円くらいで良いのではないかと思います。
お寺とのやり取りでは、スムーズに承諾が得られるよう、丁寧な対応を心がけるようにしましょう。

墓じまいに付き物(?)の離檀料ってなに?いくらくらい?
墓所の契約の解除手続(返還手続)・寺院の離檀手続
上記の手続とあわせ、今の墓所の返還手続が必要な場合があります。
詳細は墓地の管理者にご確認ください。
3:墓じまい工事の手配と費用相場
費用:1坪20~30万円~
墓じまい工事・遺骨の移送等を行う業者を手配する
お墓の撤去工事、遺骨の取り出し、墓石の処分、撤去後の整地工事を行う業者を手配します。
(通常はこれらはすべてセットで工事してくれます。)
これらの工事は、ご自分で行うことはほぼ不可能ですので、業者に依頼するほかありません。
今はインターネットでも探すことが可能です。
ただし、業者をお寺・霊園の指定石材店から選ばなければならないケース(指定石材店制度と言います)もありますので、事前に管理者に確認しておきましょう。
また、お墓の立地によって、墓石の運搬にかかる人件費が大きく変わりますので、必ず工事前に業者から見積もりを取り、よく検討するようにしましょう。
一般的な都市型のお墓であれば、1坪までが20~30万円、それ以上の広さにつき1㎡あたり7~10万円という金額が目安となるでしょう。
お性根抜き・法要の手配
費用:1~5万円程度(地域により異なることも)
お性根抜き・法要を行う場合は、お寺に相談して手配しましょう。
ただし今は、お性根抜き・法要は行わずに墓じまいするケースも多いです。
4:自治体への申請
費用:数百円程度(自治体による)
自治体に改葬許可の申請を行い「改葬許可証」を取得
現在の墓地の所在地となる自治体に改葬許可の申請を行い、改葬許可証を発行してもらいます。
改葬許可申請には、現在の墓地の「埋葬証明書」と新しいお墓の「使用許可証」が必要となるのが一般的です。
自治体により、必要書類や書類の形式が異なりますので、事前に役所やホームページで確認するほうが良いでしょう。
5:墓じまい工事の施工
お性根抜き・法要等の実施
ご遺骨の取り出し・墓じまい工事の実施
遺骨の取り出し、墓石の撤去・処分、墓所の整地を行います。
墓石を撤去する際、墓石から魂抜きをする儀式(閉眼供養)を行う場合もあります。墓石は魂の宿るものとされており、この閉眼供養を行うことで普通の石に戻すのです。
墓石を撤去し、墓所を整地したら、墓所をお寺・霊園に返還し、現在のお墓の墓じまいが完了します。
墓石の撤去工事については、霊園によっては担当石材店が決まっている場合もありますので注意しましょう。
6:ご遺骨の改葬(永代供養・散骨など)
ご遺骨を新たな改葬先へ埋葬する
取り出した遺骨を新たに契約したお墓に埋葬します。
永代供養墓(合祀墓)への改葬や散骨を行う人が多いですが、遺骨が手元に戻らなくなるため、一部の骨を「手元供養」とする方も多くいらっしゃいます。

墓じまいと手元供養 -遺骨の一部を手元に
墓じまい費用平均(まとめ)
以上の墓じまいの費用を合算しますと、墓じまいに必要な費用が分かります。
<公営霊園・民営霊園の場合(お寺でない場合)>
◎ 24万円程度~
<お寺の墓地の場合>
◎ 30万円程度~
離檀料(お布施)の支払いは任意ですが、ある程度は払うべきと考えます。
いずれも、改葬先の費用によっては費用が増加します。
また、お墓の撤去工事費用は、上でも述べたとおりお墓のロケーションで大きく変わります。(特に大きいのが、トラックを止められる場所とお墓との間の距離・道幅・階段の有無など)
必ず何社かの見積りを取っていただくことをおすすめします。
◎ 墓じまい手続き代行
墓じまいの増加もあり、墓じまいの諸手続きなどを代行してくれるサービスも登場しています。
石材店の手配や、受入証明書の発行、改葬許可手続の代行なども行ってくれるところもあります。
忙しくて手続をする時間のない方や、お墓が遠方で手続きが大変だという方には大変便利なサービスです。

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