墓じまい(墓終い)の手順と費用と注意点が5分で分かる!

「墓じまい」をする人が増えています。 テレビなどマスメディアでも取り上げられることも増えたせいか、時事通信社が行ったアンケートでは「墓じまいは良いこと」と考える人が6割もいたそうです。 「墓じまいは良いこと」が6割という衝撃 墓じまいというと、先祖のお墓を取り壊してしまうという後ろ向きなイメージもありますが、私は墓じまいをしたことで心配事がひとつ片付いたとホッとされるお客様を多く見てきました。 ここでは、「墓じまい」を分かりやすく解説してまいります。 墓じまいは、「墓仕舞い」「墓終い」などと書かれることもあります。墓を「仕舞う(しまう)」ことであり、墓の「お終い(おしまい)」でもありますので、当サイトではひらがなで書くこととしています。

「墓じまい」とは何?

「墓じまい」とは、今ある先祖や家族・親族のお墓を取り壊して撤去し、墓地を寺院や霊園に返還することを言います。 それに加えて、最近のお墓は火葬した遺骨を骨壺でお墓の中に埋葬してあることが一般的ですので、その遺骨を取り出して改葬する必要が出てきます。 その遺骨の改葬先を探すことなど改葬作業も含めて「墓じまい」と言われています。 お墓を撤去するということ自体は昔からあったものの、ひと昔前まではお墓をなくすなんてことは先祖に失礼な罰当たりな行為であり、恥ずかしいことでさえありましたから、「墓じまい」なんて言葉はありませんでした。

墓じまいすると罰当たり?先祖の祟り(たたり)がある!?

今では、お墓を撤去することへの抵抗感も減り「墓じまい」という言葉で定着することになったのです。

墓じまいは誰がすればいいの?誰の費用負担になる?

「墓じまい」の手順

墓じまいの手順をおおまかにまとめると、下のとおりです。
  1. ・ 墓じまいすることについて親戚等関係者の承諾を得る

  2. ・ 墓じまいした後の遺骨の改葬先等を探す

  3. ・ 今のお墓で埋葬証明書の発行 ・ 離檀料の支払い(寺院墓地の場合) ・ お墓の返還手続・寺院の離檀手続

  4. ・ 自治体で「改葬許可証」を取得

  5. ・ お性根抜き・法要等の手配・実施 ・ ご遺骨の取り出し・墓じまい工事の手配・実施

  6. ・ ご遺骨を新たな改葬先へ埋葬

こうやって並べると項目が多くて何だか大変そうではありますが、書類手続などは墓じまい工事の業者さんが引き受けてくれる場合も多いので、実際にはそれほど大変ではありません。 (いくつか必要書類を書くだけで済む場合もあります。) お墓が寺院墓地にある場合は、離檀手続が必要となりますので、少々大変です。 お寺さん(住職さん)に、いきなり書類を送りつけたりするのは、トラブルの元になりかねないので、必ず電話などで連絡したうえ実際に会って、墓じまいしたいことを伝えるようにしましょう。

「墓じまい」にかかる費用

墓じまいにかかる費用は、お墓の大きさなどによって変わりますが、目安としては、 25~30万円程度 (広さ1坪、民営・公営墓地の場合) と考えると良いと思います。

墓じまいの費用相場が10秒で分かる -撤去費用・改葬費用・離檀料など-

寺院墓地(民営・公営墓地でない)の場合は、離檀料(檀家を辞めるに際してのお布施)が必要となる場合がありますので、もう少し多めに必要です。

墓じまいに付き物(?)の離檀料ってなに?いくらくらい?

また、お墓が山の斜面など、重機(石を運搬する機械)が入れない場所だったりすると、工事費が跳ね上がる場合があります。 必ず、業者さんにお墓を実際に見てもらったうえで、見積もりをしてもらうようにしましょう。

墓じまい、もっと安くするには? – 無駄に費用をかけないために

「墓じまい」での注意点・トラブル

墓じまいをするにあたっては、トラブルが起こらないよう注意が必要です。 主なトラブルは、 ・墓じまいされたくなかった親戚とのトラブル ・檀家を辞めるにあたってのお寺とのトラブル の2つです。 いずれもこじれると収拾がつかなる問題ですので(裁判になった例もあります)、あらかじめ心の準備をしておいてください。

墓じまいで実際に起きているトラブルとは!? – 親族のクレーム・離檀料など

お墓の引越し・移設をするときに考えなければならない3つのポイント

なぜ墓じまいが増えているのか

ひと昔前までは、お墓は「先祖から受け継ぎ子々孫々引き継いでいかなければならない」ものであり、お墓をなくすなんてことは先祖に失礼な罰当たりな行為であり、恥ずかしいことでさえありました。 ただ、お墓だって、時代の移り変わりとともにスタイルが変わるのが当たり前ですよね。 独身女性はお墓が買えない(お寺が売ってくれない)なんていう時代が最近まで続きました。もう今の時代には合いません。 子供がいない夫婦、独身やおひとりさまのように跡継ぎがいない人も含め、自分が安心できるお墓、1人1人の生活スタイルに合ったお墓を自由に選ぶことが当たり前の時代になってきました。 それにつれて、墓じまいも増えているのです。 約30~40年前、バブルの時代には、立派なお墓を買うことが流行しました。 400~500万円もするお墓がバンバン売れていました。 景気も良い時代、良い家・良い車・良いお墓、これが成功者のシンボルでしたから、皆さん競うように立派なお墓を買ったわけです。 しかし時代が下って、そんなお墓は、管理にお金がかかる、自宅から遠い、跡継ぎ(お墓の面倒を見れる人)がいない、という色々な問題を抱えるケースが激増しています。 少子化が進む時代、結婚していない、子供がいないという人はどんどん増えており、自分が死んだらお墓は無縁墓になるしかない、という人が数多くいます。 夫婦でそれぞれの父方母方のお墓、つまり4基のお墓すべての面倒を見なければならないという大変なケースもあります。 また最近では、自分が墓のお世話を続けられる状態であっても、「後を継がせられる子供がいない」「子供に跡を継がせて苦労を掛けたくない」という理由で墓じまいを選ぶ人も増えてきています。

跡継ぎがいなくなったら墓じまいしてくれる??

「墓じまい」にお金を掛けたくない、という人が増えるわけ

墓じまいの改葬先としての永代供養墓

墓じまいをする場合、遺骨の改葬先には「永代供養墓」が選ばれることが多くなりました。 永代供養墓は、契約者がお墓の掃除をする必要もありませんし、供養もお寺や墓地管理者が行ってくれます。また、費用負担についても、契約時に一括で納付することで以降料金が発生しないところが多く、お金の面での安心感が高いのもその理由です。

墓じまいの改葬先に「永代供養墓」が最適と言える理由

必要なのはコミュニケーション

お墓の悩みを抱えているならば、一度ご家族・ご夫婦・親子などで、お墓のことについてお話しされると良いと思います。 以前伺った70代女性Mさんのお話。 自分が家代々のお墓を世話してこられたものの、体も億劫になり日々のお墓参りに差し支えるようになったそうです。 嫁姑関係で苦労されたMさんは、息子さん夫婦にお墓の世話をお願いすることが忍びなく、亡くなったご主人には申し訳ないと思いつつもお墓を閉じてしまおうと決心されました。 ただ、息子さんに切り出すことができずにいたある日に「お墓を閉じたい」という話をポロッとしたところ、息子さんは驚き、Mさんの話を聞いてくれたうえお父さんのお墓をなくすわけにはいかないと、当面息子さんが面倒を見てくれることになったそうです。 この話、ただの結論の先延ばしかもしれません。しかし、Mさんは胸の支えが取れてほっとしたとおっしゃっていました。 大事なことは、お墓を閉じるか閉じないか、ではないのかもしれません。

家族・夫婦・親子で話し合いたい「お墓」と「墓じまい」(前編)

家族・夫婦・親子で話し合いたい「お墓」と「墓じまい」(後編)

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