小池都知事の登場とともに様々な問題が表面化した豊洲市場、築地市場を移転するのかしないのか、議論は泥沼の様相を呈してきた。
とここに来て、日刊ゲンダイが「豊洲市場に移転しなかった場合の跡地に大規模霊園を作る」計画が浮上していると報じた。
驚きのウルトラCが突如現れ、Twitterも賑わっている。
巨大な利権が絡んで大騒ぎして結局お墓が出来た、となれば、何やら壮大なブラックジョークの様にも思えます。
— 川流桃桜@この「戦前」を生き抜こう (@kawamomotwitt)
良い考えだ。墓地がなかなか見つからないで、埼玉の奥まで行きようやく見つかったと知人から聞いた。都内で電車で行ける墓地があれば、大変助かると思う。
— 整体4277訪問マッサージあいのて和園 (@seitai4277)
役人、ゼネコン、都議会自民党の「墓標」にちょうどいい。今後の戒めにもなる。霊園には何の危険性も無いから、豊洲の地価が暴落しても「気分の問題」だね。
— 越後屋 もっち (@1905Tor)
市場前駅が墓地前駅に変わるのか……(困惑)
— 人外魔境とカニバリズム(ダテンチャーン) (@treytrf5)
日刊ゲンダイさん、やるね。ダメな土地はこういうあおりで楽しまないとw。
— 森崎正人(胡桃) (@hutai)
10/10現在既に記事はかなりのリツイートがされており、賛否を問わず色々な意見が出ている。
しかし現実的には、最後の「森崎正人(胡桃)」さんがつぶやいているとおり、この記事は煽りの域を超えないものと思われる。
記事内では、霊園建設の実現への「問題は法規制の課題だ」、と述べているが、それ以前に、3000億円という莫大な費用を投じて取得・汚染対策を行った土地を損切りに等しい扱いで霊園にすること、オリンピック会場の目の前でありかつ都心からも至近の一等地をお墓にしてしまうことが議会の承認を得られるのか、という疑問もさることながら、いやそもそも土壌汚染がひどくて市場の移転などできなかったのだとしてそんな土地に一般の人々が土をかなり触るであろうお墓なんぞを作っていいの?と、なかなか突っ込みどころが多すぎてどこから攻めて良いものやら。
むしろ、このまま揉めてお墓になっちゃうくらいなら予定通り市場を移転した方がいいよね?という真逆の方向への世論誘導を狙っているのでは、と思えるほどだ。
墓地のそばは地価が下がるのか?
とはいえせっかくなので、他の視点で見てみたい。
記事中に、大規模霊園ができることにより「豊洲の地価が下がる可能性」があると記述があるが、実際にはどうなのだろうか。
例えば、都心青山の一等地に構える都立青山霊園の周辺を調べると、東京都が発表している路線価(相続税算定の根拠となる価格)で見る限り、霊園の近隣で価格が下がっているとは見えない。むしろ駅までの距離や接する道路の幅による上下動が遥に大きいため、霊園の存在の影響はほとんどわからない。
やや郊外になるが府中市の都立多磨霊園でも同じく周辺の地価にはほとんど影響がない。
これは、お墓の近隣だからと敬遠する人がいる一方で、東京の一等地およびそれに近いような土地についてはそれを気にしない買い手がいくらでもついてしまうため、地価にはほとんど影響が出なくなってしまうのだ。青山霊園や多摩霊園については、周囲がかなり緑化されているため周辺にいても「お墓」の存在は全く感じずにすむ、ということも、地価が下がっていない理由の一つかもしれない。
翻って豊洲についても、もし万が一市場予定地に霊園ができたとして、豊洲の住宅地からは500メートル以上もの距離があるうえ墓地は生活圏内にはなく、青山霊園のように公園墓地として整備されるなら住宅地の地価への影響はほとんどないであろうと推測する。
豊洲に大規模霊園ができることはよもやないだろうが、東京で活用できていない埋立地を整備して公園墓地を作る、というのは意外に悪くないな、とも妄想する。