あなたは幸せに死ねますか? – 最期に受けたい心のケア(玉置妙憂さんの講話より)

これからの「看取り」はどうなるのか

 玉置さんは、「スピリチュアルケアをし、死を看取っていく、というのは、かつての日本の社会が自然に持っていた文化。かろうじてその名残を知っているのが団塊の世代。その団塊世代を看取る私たちがしっかり継承して子世代に見せないと途切れてしまう。」と強い危機感と使命感を持って活動されています。

 確かに、医学の発達により食べられなくても息をできなくても生きられる今、自らの死を受け入れ周りもそれを受け入れる、という当たり前のことが当たり前でなくなりつつあるとも言えましょう。

 思えば、科学技術の進歩によって大概のことが科学や理論で説明できるようになってきてしまった現代において、私たちはあらゆることを理屈で解決しようとし過ぎているのかも知れません。
 こうして頭でっかちに考えすぎた結果、「なぜ私たちは生きているのか?」というような答えのない、わからない問いに対しては、考えることや説明することを拒絶し、向き合う機会さえ失っているのかも知れません。

 今、「スピリチュアルペイン」そして「スピリチュアルケア」の問題は、今まさに死を迎えようとしている人だけでなく、それを受ける・するということを置いて、いつかは必ず死を迎えることになる自分の親、夫、妻、そしてむしろ自分の問題として、日本人皆が考える必要があるのではないでしょうか。
 先にも述べたように「スピリチュアルケア」は、「よく分からないこと」に対して「理屈で答えを出す」のではなく「相手の世界に寄り添ってみる」という重要なプロセスがあります。
 認知症の人に対してだけでなく、種々の障碍を持った人や、あるいはまだ意思表示のできない乳児などに対しても、まずは「相手の世界に寄り添ってみる」ことは可能でしょう。寄り添ったその先に答えはなくとも、心を通わせることはできるのかも知れません。

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 本記事は、玉置妙憂さんの講話を、筆者の感想などを交えながら記事にしたものです。

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子が学ぶ親の「養老指南塾」
子が学ぶ親の「養老指南塾」(Facebook)

田辺 直輝(たなべ なおき)
 一墓一会編集長
 お墓アナリスト
 海洋散骨アドバイザー
 私がお墓関係の仕事に関わり始めたのは10年ほど前。
 たった10年の間ですが、お墓を持つ人、お寺さん、民間の墓地運営者など多くの方とお話しするにつけ、世の中のお墓事情は日に日にどんどん変わっていることを実感します。
 誰もが同じような場所に同じような墓を建て、同じように子孫に引き継いでいく、そんな時代はもう終わりました。
 「最近は先祖を敬う気持ちが薄れているのでは?先祖をもっと大切に。」というお寺や墓地の関係者の話も耳にします。
 しかし、何より大切にしなければならないのは、今生きている人の人生です。
年を取った人が安心して余生を送ることができ、遺される人も安心して見送ることができる、お墓を通じて、そんな皆様の人生のお手伝いができればと思っております。