ついに1万円(?)の永代供養付き納骨墓が登場 忍び寄る価格破壊

 先週、また驚くようなニュースが入ってきた。

 2013年10月、埼玉の見性院が始めたのが、遺骨をゆうパックで送れば永代供養墓で供養でき料金は3万円ポッキリ(送料は別)、という「送骨サービス」。
 画期的な料金と埋葬のプロセスは話題を呼び、次々に同じようなサービスが登場、「送骨(そうこつ)」という言葉は今や一般的な言葉にさえなりつつある。

 そもそも、当時としては「永代供養墓3万円」というのもかなり衝撃的な料金設定であったものの、今や3万円前後の永代供養墓は探せば結構ある。

 しかし、今回登場したのは、それを上回る「1万円」という破壊的な価格。しかも、ゆうパックでの送骨も受け付けるという。
 

伊豆の願行寺「涅槃堂」は永代供養納骨墓が1万円(プラスα)

永代供養墓「涅槃堂(ねはんどう)」

 このサービスを始めたのは、伊東市にある願行寺(がんぎょうじ)。伊豆高原に位置し、高級リゾートで有名な川奈からもほど近い、緑豊かな場所にある。

 1万円で入れるのは、新しく願行寺に建てられた「涅槃堂」。合同墓だが、13回忌までは合祀せず個別に埋葬してもらえる。(その後合祀)

 もちろん宗教は不問、埋葬後の管理料や会費もかからない。

 先出の見性院の橋本住職は、「永代供養墓で3万円という料金だと、正直利益は出ません。」と語っていた。13回忌までの供養、お墓の費用、その他の手間などを考えると、確かに3万円では厳しいだろう。

 そこへ来ての1万円であるから、受ければ受けるほど赤字なのでは?と心配してしまうほどであるが、
ん、納骨費用のページに・・・!?

「※ 納骨までの手数料として別途金5,000円(税別)が必要となります。」

との記載が・・・。なんと5000円もの手数料、税別なのでシメて5,400円がさらに必要とは!
 料金の表示が何ともセコい。

 しかも、涅槃堂のホームページのURLは『ichiman-noukotsu.jp』、値段を思い切りローマ字にしたままの一万.jpとは、潔いとはいえ、お墓のホームページとしてはどうかという何とも俗っぽい香りが漂う。

 それもそのはず、と言っては大変失礼になってしまうのだが、この願行寺の住職、なかなか変わった経歴の持ち主なのだ。

住職は元漫画原作者

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願行寺住職 牛込覚心氏

 願行寺の住職である牛込覚心氏は、元々は「牛次郎」のペンネームで知られる作家・漫画原作者で、『包丁人味平』『釘師サブやん』『スーパーくいしん坊』など一世を風靡した漫画の原作者であるほか、「パチンコ大戦略」などパチンコ関連の著作も多い。

 1970〜80年代にかけて数々のヒット作を世に出すも、1986年には臨済宗妙心寺派医王寺で出家得度、1989年には自らの設計により願行寺を建立し、住職となるのである。
 出家以降は、『生と死の般若心経』『生と死の観音経』『「お寺さん」出番ですよ』『現代お墓革命』など、仏教やお寺・お墓に関する著書も多く出している。

 また、願行寺に、檀家のような家族単位ではなく個人で入れる合祀墓「一塔合祀陵」(いっとうごうしりょう)を建てるなど、先進的な取り組みも行っている。

 ウィキペディアで「牛次郎」のページを見ると、住職の著書が一覧できるが、初期と今とのギャップがなかなかすごい。
 かなり際どい路線の小説もあり、そんな本を書いた人が住職に・・・、とも思ってしまうが、逆に俗世の俗にまみれたからこそ、過去に捕らわれず画期的なサービス世に出せたとも言えよう。

 永代供養付き1万円納骨堂(※正確には15,400円納骨堂)の涅槃堂は、遺骨の持ち込み、送骨いずれも可。送骨する場合は送骨キットを送ってもらえる。

 「誰しもが平等に、また一人でも多くの方に穏やかにお休みいただけるよう」という住職の言葉は短いが深い。
 近年ますます増えているという、行き場のない故人、遺骨をめぐって困っている親族などが、救われることを祈りたい。

涅槃堂
転法輪山 願行寺

担当:田辺直輝