お墓の一番メインの部分、一般的に「○○家之墓」とか「○○××之墓」などと刻まれている部分を、「石碑」あるいは「棹石」「竿石」(さおいし)と呼びます。
石碑部分はお墓の顔とも言えるところですので、できればいつもキレイで見栄え良く保ちたいところ。
材料の石は、外柵や納骨室周りよりも良い石が使われていることが多く、傷みにくいのは事実ですが、陽当たりや風通しなど置かれた環境によっては傷みが進むこともあり、細やかに修繕を行うと断然長持ちするとも言えます。
かなり古いのお墓の場合は注意が必要
建てられたのが7~80年という古いお墓になると、石碑現在のようにピカピカに磨かれてはいません。表面は、ややざらざらしており、刻まれた文字に塗料も塗られていないことがほとんどです。
この古いタイプの石碑は、表面に水がたまりやすいため、どうしてもコケが生えやすくなります。
写真の石碑のように表面に薄緑のコケが点々と生え、放っておくとびっしり表面を覆うことさえあります。
コケが生えると、今度は石自体が風化しやすくなり、雨風によって表面が傷んできます。
彫刻してある字も読みづらくなり、判読ができないほどになることもあります。

一番良いのは、石碑を新しいものに替えてしまうこと!ではあるのですが、その家の長年の歴史を伝える石碑をなくしてしまうのはご先祖様に申し訳ない気がするのも確か。
また、古い石碑は今作ったお墓にはない「味わい」や「風格」があるのも事実です。そんな格式あるお墓を少しでも長持ちさせたいもの。
古いの石碑のメンテナンス
それでは、古い石碑のメンテナンスはどのようにすればいいでしょうか。
基本は普通の墓石と変わらないのですが、「こすり過ぎない」「痛めつけない」ということをしっかり意識しましょう。
1. ブラシでゴシゴシこすらない
固いブラシでゴシゴシこすり洗いするのは厳禁です!石がすり減ってしまうからです。
石碑を洗う際には、必ず水をかけ、布または柔らかい毛のブラシで表面の土やホコリを流し落としましょう。
コケは、軽くこすって取れないようであれば無理に取ろうとするのはやめましょう。濡らしたあと、軽くつまようじで引っかくように取ると良いでしょう。
それでも取れないようなコケについては、そのままにしましょう。多少のコケは味があって良いものです。
2. 洗剤・薬品を使わない
「墓石用」の表示がない洗剤や薬品を付けるのは、もちろんNG。
石を痛めてしまううえ、環境にもよろしくありません。
また、「墓石用」の洗剤についても、使うのは汚れがひどい時など最低限に抑えましょう。
3. 洗った後の水は拭き取る
石碑を洗った後は、必ずフキンなどで水を拭きましょう。もちろん完全に乾かすことはないですが、程なく乾く程度には拭き取りましょう。
水は、石の劣化やコケの繁殖につながる原因です。
もちろん雨が降ったら濡れてしまうのですが、濡れている時間は少しでも短くしてあげましょう。
4. 雑草はきれいに抜く
当たり前ではあるのですが、墓所内にはびこる雑草はきれいに抜いておくようにしましょう。
雑草が多いと、湿気が多くなるうえ風通しが悪くなり、カピなどが生えやすくなります。虫も増えてしまいます。
雑草はきれいに抜きましょう。
これらのポイント、実は、普通のお墓でもほぼ同じなんですね。ただ、古い石碑はとてもデリケートです。
こちらも少し気を付けてお世話をしてあげると、とても素敵な墓になります。
放っておくとこんなことに・・・
ちなみに、メンテナンスが悪いとどうなるのでしょうか。

このように、亀裂が入ってそこからはがれたり、割れてしまったりします。
細かい亀裂であれば、そこを埋めて修理することも可能です。ただ、ここまでになってしまうとなかなか手の施しようがありません。
状態が酷くなってしまう前に、一度ご相談ください。