お墓の「外柵」とは、お墓の敷地の境界に沿って埋められたリ建てられたりしている石のことです。
家で例えればお隣さんとの間の塀や柵にあたり、隣地との境界を示し、自分のお墓の領域をあらわす非常に重要な部分です。
外柵部分がずれたり割れたりすると、お墓の見栄えが悪くなるだけでなく、崩れたり倒れたりしてお隣に迷惑をかけることになる可能性もあります。

今回は、お墓の外柵に生じる不具合とその原因などを見ていきましょう。
外柵の接合部分にすき間ができてしまった
お墓を建てて、最初に傷んでくることが多いのが石の接合部です。
石の接合部には接着剤などが使用されており、これらは石材よりも風雨により傷みやすいもの。
最近のお墓では、石のつなぎ目に石材用のボンド(接着剤)が使われるのですが、1990年代頃までに建てられたお墓ではセメントが使われていることが多く、最近の接着剤よりも、劣化してヒビが入ったりやせて隙間ができてしまったりしやすいのです。

すき間からは雨水が入ることになり、さらに劣化が進むおそれがあります。
すき間の補修であれば、コーキング処理などを行う程度で、業者さんに依頼しても2~3万程度で直ることもあります。
早めの修理をおすすめします。
外柵の石がずれてきた、傾いてきた
外柵の石の間にすき間ができただけでなく、石がずれたり傾いたりしていると、少々厄介な場合もあります。
すき間ができると、そこに水とともに砂や泥が入り込むこととなります。
それ自体がすき間を押し広げることもありますし、そこに草が生えてしまうと、さらに状況が悪化します。
雑草はアスファルト舗装のすき間でさえ芽を出せるのです。その強さは尋常ではなく、根が張ってしまえばものすごい力ですき間を押し広げることになってしまうのです。


さて、傾いた外柵の石の修理ですが、傾いているだけであれば石を元通りに戻してすき間を埋めれば良いのですが、実は多くの場合、お墓の地盤自体に歪みがでてしまっています。
古いタイプのお墓は基礎がない!?
お墓というと、「地面に納骨用の穴を開けてそのうえに墓石を乗せたもの」と思っている方は多いのではないでしょうか!?
それは、少し前まではその通りでした。

地震も雨も多い日本では、土の上に墓石を置くだけだと、雨で地盤が浸食されたり、地震によって歪んだりということがどうしても起こってしまいます。
それによって一番歪みが出やすいのは外柵。
ひどい場合は、お墓の竿石まで傾いてしまいます。
そんな外柵の修理は、石の傾きを戻すだけでは隣の石とズレができてしまうので、一旦外柵をすべて取り払って地ならしから行わねばなりません。
さて、先ほど「少し前まではその通りでした」と書きましたが、では今は違うのでしょうか?
実は今では、お墓の下に基礎を打ってコンクリートで地盤を作り、その上に墓石を置いていくのが一般的です。戸建住宅を建てるのと同じ要領ですね。

このコンクリート地盤は、地震に強いのはもちろんのこと、雨で地盤が緩むことも防げますし、何より草が根を張れないため大きな雑草がはびこりづらいというのも大きな魅力の一つです。
もし、外柵が傾いて地盤ならしが必要な場合は、上の写真のようなコンクリート地盤を作ったうえで外柵を整えられることをお勧めします。
そんなことをしたら修理代が高すぎるのでは?・・・というご心配もあるでしょうが、1.5㎡程度のお墓であればコンクリート地盤の構築と外柵石の新調を行って20万円台から修理できます。
いや、でもたかが外柵でしょ?・・・とお思いの方、お墓の外柵を組み上げるのは結構大変で、まさに職人芸なのです。
次はその職人芸で作られる外柵を詳しく見てみましょう。
お墓の外柵のずれ・割れ・ゆがみ・すき間の修理はどうすれば?(2)